古稀庵(湯田温泉)

湯田温泉 湯田温泉でイチオシの温泉宿
やまぐち・湯田温泉 古稀庵
 ●JTB 限定プラン ●じゃらん ●一休.com 特選プラン

 山口市の中心部から程近い、温泉街というよりは市街地といった感じの湯田温泉にあって、ひと際異彩を放っている温泉旅館が、この「古稀庵」だ。ビル建築によるホテルが林立する湯田温泉にあって、まるでエアポケットのように佇むこの宿は、日本古来の伝統や故郷山口の自然と文化をとり入れた宿をつくりたい・・・という、古稀を迎えたオーナーが抱いた理想が、熱い想いとともにカタチとなった、まさに温故知新の宿だ。

 地元長州出身で、元帥陸軍大将や内閣総理大臣にもなった、地元の英雄でもある山縣有朋が、70歳の時に構えた別荘の名を借り「古稀庵」としたそうで、わたしなどは少々身構えてしまいそうな誇り高き門をくぐり敷地内に一歩足を踏み入れると、そこには周囲の雑踏とはかけ離れた、懐かしさや深いやすらぎ、そしてなんとも言えぬ心地良さが感じられる空間が開けている。もはや本家を超える現代版の「古稀庵」の世界といった感じだ。

 湯田温泉でこのような雰囲気の宿にありつけるとは・・・

 というのが、初めてこの宿を目にした時の、わたしの偽らざる感想である。そこには「古稀庵」を囲むように建つ他の湯田温泉のホテルや旅館とは全く次元の異なる世界が広がっており、これだけでこの宿を選ぶに値するほど、飛び抜けた存在感がこの宿には感じられた。

 異彩というと、どこか普通とは違ったものという、本筋とは外れたイメージが湧いてしまいがちだが、実はど真ん中を突き詰めた、本物をトコトン追求した先にたどり着く境地もまた異彩に感じられるわけで、まさにこの宿ははそんな感じだ。あまりにも周囲を置き去りにして、まっしぐらに本筋を進んだがゆえの結果なのだろう。

 歓楽的要素を求めて湯田温泉を訪れる方には、無用の長物なのかもしれないが、湯田温泉の湯を求め、純粋に温泉宿を楽しむのなら、わたしは迷わずこの宿をすすめる。この宿の誕生が、湯田温泉にとって実に素晴らしい出来事だったとさえ思えるほど、湯田温泉の未来を切り開く感覚を、この「古稀庵」に覚えた。