河津町観光ガイド河津桜まつり

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Vol . 16

河津桜まつり/河津桜祭り

Kawazu Town

河津町

5つ星評価

河津桜まつり

Presented By 星★聖

河津桜まつり

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河津桜まつりをご覧の皆様へ

河津桜まつりかわづざくらまつりとは?

静岡県賀茂郡河津町を舞台に、例年2月より開催される伊豆に早い春を告げる早咲きの 河津桜 による30年以上続く歴史ある桜まつりで、毎年県内外・国内外より多く花見客が訪れ、過去には125万人が来場したこともある伊豆の一大観光イベント。

河津川の河口の国道135号に架かる浜橋~上流の峰大橋辺りまでの 約3.8km に、約850本 の河津桜による桜並木が連なる他、河津桜原木 や豊泉の桜・上河原の桜・音蔵の桜などの一本桜が点在している。また少し離れた 河津七滝ループ橋 周辺や 湯ヶ野温泉 にも河津桜が咲き、実に町内に 8000本 もの河津桜が咲く。

桜まつり期間中には、露店が連なり各種イベントも企画されており、花見気分を盛り上げる他、桜並木の ライトアップ による夜桜見物も楽しめる。

尚、以前は2月10日~3月10日に開催されていたが、桜の開花時期が早まってきたことを受け、2022年より 2月1日2月28日 となっている。

★開催予定:

星★聖の名勝・史跡探訪記

河津桜まつりの見どころ

早い春を告げる『河津桜まつり』!

河津川沿いの桜並木

ちょうど北の大地 北海道で雪と氷の祭典「さっぽろ雪まつり」が開催される頃、早くも桜が見頃を迎え お花見 が楽しめる場所がある。ポツンポツンと寒桜が咲くだけなら取り立てて騒ぐことでも無いのだが、桜並木を歩きながらの本格的なお花見が楽しめるのだから格別だ。

静岡では年明け早々に あたみ桜土肥桜 が咲き始め、早い春を告げるとともにそれに続くように各地で 河津桜 が一斉に花を咲かせる。

私が静岡に住むようになって良かったなぁ~と思うことの1つに、この新年早々受験生よりも早く春が訪れ、それがそのまま3月のソメイヨシノまで続き、ずっとお花見が楽しめるということが挙げられる。この間、熱海梅園梅まつり をはじめ 梅の名所 も見頃を迎えるわけで、あらさわふる里公園 など梅と桜の共演が楽しめる場所も数多くある。

そんな早い春を告げる静岡の桜まつりの中で、最も有名な桜まつりとなっているのが、静岡県賀茂郡河津町を舞台に開催される『河津桜まつり』(かわづざくらまつり)だ。

河津町で開催される桜祭りに違いは無いのだが、当初私も勘違いしていたのだが、河津 + 桜まつり(かわづ さくらまつり)ではなく、河津桜 + まつり(かわづざくら まつり)だ。

『河津桜まつり』は、2015年より暫く2月10日~3月10日に定期開催されてきたが、桜の開花時期が早まってきたことを受け、2022年より 2月1日~月末 まで2月いっぱい開催されるようになった。ただ自然が相手なだけに開花状況によっては、3月10日頃まで開期延長される場合もあるので、公式HPなどで開花状況をチェックしながら訪れる時期を見極めよう。


1ヶ月の来場者数は、驚きの人口の100倍以上!

河津桜祭りの菜の花ロード

『河津桜まつり』は、河津桜まつり実行委員会主催の下、河津町を挙げての一大イベントとなっているのだが、2023年1月1日現在 人口わずか 6,728人 の町に、県内外だけでなく国内外より 100万人 が訪れるまでとなっている。

私が初めて『河津桜まつり』についての記事をここで書いた頃は、まだ始まって10年余りだったこともあり、"この祭りの歴史はそう長いわけではない…"などと紹介していたが、今や2023年で33回目を迎える歴史ある桜まつりとなっており、伊豆の一大観光イベント にまで成長している。

だがここまで順風満帆にきたわけではない。1991年 に「第1回 河津桜まつり」が開催された時は、来場者はわずか 3000人 だったという。この時の河津町の人口が9,123人だったので、人口の1/3程度だったというわけだ。

それから1996年の「第6回 河津桜まつり」の時に初めて10万人を突破すると、翌1997年に倍増、さらに1998年にはまたまた倍増となり40万人を突破した。

そしてこの年、NHKをはじめテレビで『河津桜まつり』の様子が放送され、全国紙の紙面も賑わせたことから、翌 1999年 に『河津桜まつり』は一気にブレイクし、ツアー旅行客も増えたこともあり初めて 100万人 を突破した。実に河津町の人口の100倍以上となる花見客が訪れた計算となるから驚きだ。100万人が押し寄せた河津町の町民は、もっと驚いたことだろう。

河津桜まつりの河津桜並木

それから2011年の「第21回 河津桜まつり」まで毎年100万人を突破し、2000年 には 125万人 という過去最高の来場者数を記録したが、東日本大震災 による観光自粛ムードの中、2012年に69.7万人と100万人を大きく割り込むと、それから2019年まで100万人を超える年はなく80~90万人で推移し、そこに 新型コロナウィルス によるコロナショックがやってきた。

国内で感染者が初めて確認された2020年の「第30回 河津桜まつり」は、まだ1ヶ月余りで状況がよくわからなかったこともあり、減ってはいたが52万人が来場したものの、翌2021年は『河津桜まつり』史上初の 開催中止 に追い込まれた。それでもコロナ禍でも河津桜は咲くわけで、自粛要請の中12.2万人が来場した。

そして少しづつWithコロナへと舵を切り出した2022年は、町内でも賛否両論あったものの正式に「第32回 河津桜まつり」が開催されたが、来場者数は19.5万人ほどで戻らず、3月10日まで開期延長されたものの、その間の来場者数を足しても30.1万人だった。

最盛期の1/4であり、かつての賑わいはそこには見られなかったが、伊豆の一大観光イベントであることに変わりはなく、早い春を告げる河津桜の美しさは不変的であり、むしろここにきて円熟味を増している感じだ。

正式にWithコロナ時代となった2023年、どこまで来場者数が戻るのか見守ってみたい。


観光特急「サフィール踊り子」がおすすめ!

そんな東京から『河津桜まつり』が行われる河津町へのアクセス方法は、クルマと鉄道で行く方法が考えられる。

鉄道の場合は 東海道新幹線 で熱海駅まで行き、そこから 伊豆急行線河津駅 まで行く方法と、観光特急「サフィール踊り子」にて、東京駅から乗換なしで河津駅まで行く方法がある。個人的には2020年3月14日に、これまでの「踊り子」に代わって登場した、優れたデザインでローレル賞も受賞した「サフィール踊り子」で『河津桜まつり』へ訪れることをおすすめしたい。

サフィール踊り子

時間的には新幹線を利用した方が少し早いのだが、行きだけでもゆっくり直行の特急に揺られていった方がきっと楽しい旅になるだろう。河津の温泉宿とのパックツアー もあるので、うまく利用したい。

一方クルマの場合は、東名高速の沼津IC / 新東名高速の長泉沼津ICより 伊豆縦貫自動車道 を経由して 国道414号 にて伊豆半島を南下する方法と、東名高速の厚木ICから小田原厚木道路経由で熱海に出て、国道135号 にて東海岸を南下する方法がある。

伊豆縦貫自動車道が開通してからは中伊豆ルートの方が主流となっている感じだが、どちらも祭り期間中の土日・祝日は一本道ゆえの渋滞に悩まされることが考えられるので、時間には余裕をもって訪れたい。

それでも昔に比べれば比較にならないほど行き易くなっているので、鉄道であれクルマであれ気軽に『河津桜まつり』に出かけてみてほしい。


"河津桜まつり" の見どころは?

河津桜トンネル

河津桜は、河津七滝ループ橋 がある 河津七滝温泉 から 湯ヶ野温泉、峰温泉や谷津温泉などの 河津温泉郷…と河津川の河口まで、川沿いを中心に広範囲に渡って植えられている。

実にその数は町内で 8000本 と言われており、この内河津川の両岸には 約850本 の河津桜が植えられており、見事なまでの桜並木を形成している。

この両岸に河津桜が帯状に咲く県道14号と踊子花街道との分岐点に架かる 峰大橋 ~ 河口の国道135号に架かる 浜橋 までの 約3.8km が、『河津桜まつり』のメイン会場とも言える場所となっており、多くの人がこのエリアの散策を楽しむ。

河津川沿いの桜並木

ざっくり言えば、河津駅に近い河津桜トンネルと夜桜ライトアップが魅力の 舘橋~浜橋までの ①河口エリア

左右の河津桜と菜の花が織り成す軽快な遊歩道に露店が並び活気にあふている、河津桜まつり本部や大型駐車場近くの ②菜の花ロード

両岸に桜並木が続き自然の中で落ち着いた雰囲気で花見が楽しめる豊泉の足湯処 がある豊泉橋~かわづいでゆ橋までの ③峰温泉エリア

そして、サテライト会場的な感じで一風変わった河津桜の眺めと趣きが楽しめる ④湯ヶ野温泉エリア⑤河津七滝ループ橋・七滝温泉エリア があり、ここに一本桜の 河津桜原木かじやの桜役場の桜上河原の桜豊泉の桜音蔵の桜涅槃の桜大宮瀬の桜 などの桜の名木と、河津川沿いの桜並木の遠景が絵になる、河津城跡公園涅槃堂 近くの 桜見晴台 がプラスされる感じだ。

エリアによりそれぞれの楽しみ方があるので、一概にどこが良いかはあなた次第となるわけだが、菜の花ロード~豊泉の足湯処 辺りまでの散策を楽しむ方が多い感じだ。初めての方や時間に制限のある方は、この②③エリアから楽しんでいただければと思う。


河津桜トンネルと夜桜見物を楽しもう!

河津川河口に咲く河津桜

①河口エリア は、舘橋 ~ 国道135号の 浜橋 までとなり、電車派の人は河津駅より線路沿いの石畳の歩行者天国を進んで行くと、3分ほどで赤い欄干が目印の舘橋が架かる河津川の桜並木へと出られる。

この ①河口エリア は、遊歩道の両側に河津桜が咲き 河津桜トンネル を形成している箇所が多く、川岸には 菜の花 が植えられている。また18時から21時までの 桜並木ライトアップ 会場にもなっており、最初に訪れて川沿いに北上しながら祭りを楽しんでもよいし、最後にここで夜桜見物をしてから駅に向かい帰路についてもよいだろう。

河津桜まつりの夜間ライトアップ

夜桜は昼間の光景とは全く異なり、またライトアップされた河津桜はソメイヨシノとは違った色合いで暗闇に浮かび上がるので、一度は楽しんでほしいポイントだ。昼間ののどかなイメージとは一転して、川面がうっすらとピンク色に染まり何とも幻想的な空間が川岸に広がるので、お茶で体を温めながら対岸や橋の上から桜並木のライトアップを楽しむのも、また一興といった感じだ。

せっかく『河津桜まつり』に訪れたのだから、足湯や日帰り温泉にゆっくり浸かりながら、夜桜見物まで楽しんで帰ってほしい。


祭り気分一色の菜の花ロード!

河津桜祭りの菜の花ロード

そんな ①河口エリア から舘橋を越え伊豆急行線のガード下を潜り進んで行くと、やがて荒倉橋の先に一番の人出となる ②菜の花ロード が見えてくる。

河津桜まつり本部が置かれる 河津桜観光交流館 に程近く、周辺にはたくさんの駐車場が設けられていて、クルマ派の人達だけでなくツアー旅行客を乗せた大型観光バスもここへやってくることから、多くの観光客で賑わうエリアとなっている。

②菜の花ロード にはたくさんの露店が並び、店先では威勢のいい掛け声が飛び交い、食べ歩きをしながらお花見が楽しめる。昭和の時代から続く祭りの風情がここにはある。また無料の さくらの足湯処 やベンチが多く設けられている 笹原公園 もあり、ここで静岡のB級グルメなどを頬張りながら一服する人の姿も多く見受けられる。

テレビ中継のほとんどがこの場所からであり、純粋に桜の花を愛でるというよりは、所謂ソメイヨシノのお花見と同じように、最も祭り気分が味わえる場所となっている。

駐車場近くには、見頃を迎えた かわづカーネーション見本園 や、その先にパワースポットとして知られる 川津来宮神社 があり、河津桜観光交流館から川津来宮神社まで歩いても約400m 徒歩5分の距離なので、駐車場を利用する人はもちろん、そうでない方も桜見物の合間に立ち寄ってみてほしい。


日本の原風景が広がる峰温泉エリア!

豊泉橋から眺める河津桜並木

そんな ②菜の花ロード を抜け、さらに 上河原の桜 がある来宮橋を通過し川沿いの桜並木を北上して行くと、豊泉橋へとたどり着く。ここで 豊泉の桜 が咲く対岸へ渡った辺りが、もう一つの人気エリアとなっている ③峰温泉エリア だ。

この峰温泉では、自然な環境でのんびりと河津川の両岸に連なる桜並木が楽しめるのだが、ここの魅力は川原に下りての散策と、この両岸の河津桜をひき立てる桜の下の表法面に咲く 菜の花 の存在だ。同時期に開催される南伊豆町の「みなみの桜と菜の花まつり」もそうだが、この桜の下に咲く菜の花は、青空とも相まって自然な美しさを放つ。

日本の原風景が広がる河津桜まつり

河津川の静かな流れと伊豆の澄んだ青空、水辺に咲く菜の花のイエロー、そして河津桜のピンクが実に素晴らしいハーモニーを奏でており、それぞれがお互いの色をひき立てあって、とても印象的な光景をつくりあげている。

『河津桜まつり』で菜の花と言うと、先程ご紹介した ②菜の花ロード が真っ先に思い浮かぶのだが、菜の花ロードの菜の花は川原とは反対側の花壇に植えられていることから、歩いていてピンクとイエローのコントラストが楽しめる美しい道ではあるが、どこか人工的というか作られた景観の匂いがしてしまいハーモニーを奏でるまでではない。

感じ方は人それぞれだが、個人的には昔ながらの川岸に咲く菜の花がつくりあげる細々とした景観の方が好きだ。菜の花越しに見上げる桜並木やその先に広がる青空、遠く川越しに見える菜の花と河津桜の眺め…と、そんな光景を目の当たりにしながら川原を歩いていると、桜まつりの雑踏や喧騒も遠のき、いつしか小さい頃慣れ親しんだ童謡の数々が聴こえてくるような感じがする。

河津桜と菜の花

どこか変わらぬ 日本の原風景 がここには感じられ、日本人で良かったなぁ~と思える瞬間でもあり、古い人間にはこちらの方が落ち着く感じだ。

誰でも簡単に川原に降りて散策できるように石段が設けられているので、是非堤防下から見上げる桜並木の景観を楽しんでみてほしい。


歩き疲れたら足湯でホッコリ!

豊泉の足湯処

そんな ③峰温泉エリア での河津桜鑑賞には、もう1つ楽しみがある。それが河津川の桜並木沿いに設けられている足湯だ。

歩き疲れた体をゆっくりと休めるのにちょうど良いこの足湯は 豊泉の足湯処 と言われ、豊泉の桜 から少し北上した堤防沿いにあり、その横にはトイレ施設や四阿・ベンチなども設けられている。②菜の花ロード にも さくらの足湯処 があったが、やはりこの ③峰温泉エリア は時間の流れ方が違うというか、同じ足湯でも全く趣が異なる。

この 豊泉の足湯処 に注がれている源泉は、無色透明のナトリウム-塩化物泉の混合泉なのだが、実はこの源泉は単なる源泉ではなく、あることで知られるちょっと自慢の源泉となっている。何でも大正末期の1926年11月22日の正午に、大爆音とともに 地上50m まで噴き上げ誕生したとされる大墳湯で、"東洋一の大噴湯" と言われた源泉だ。

現在は600L/分となっているが、湧き出た当時は100℃のお湯が3000L/分も噴出したという湯量を誇っていたようで、今でも止水装置を外すとその高さは30mに及ぶという。

足湯のそばに当時の写真とともに "東洋一の大噴湯" についての詳しい説明書きがあるので、気になる方は読んでみてほしい。


復活した東洋一の大噴湯!

峰温泉大噴湯公園

そんな峰温泉の東洋一の大噴湯が、実は2009年2月1日に復活し、現在 峰温泉大噴湯公園 として整備されている。豊泉の足湯処 からは歩いて3分ほどの所にあり、1日7回曜日限定で1時間ごとに噴き上げを行っているので、迫力の大噴湯を間近で体感してみてほしい。

ただ温泉櫓に近づきすぎると、冷やされて降ってくる源泉でびしょびしょになるので、くれぐれもご注意を! またここにも 足湯 があるので、噴き上げまでの待ち時間には足湯で寛いだり、温泉たまご作り に挑戦したりして思い思いに過ごしてほしい。

涅槃堂 桜見晴台

話が逸れたが、そんな 豊泉の足湯処 を過ぎそのまま かわづいでゆ橋 方面へと足を進めると、やがて道の両側に河津桜が咲く桜トンネルがある。この場所は、①河口エリア とともに夜間 桜並木ライトアップ が行われる場所であり、河津川沿いでは数少ない 河津桜トンネル が楽しめる場所にもなっている。

そしてさらにその先に 涅槃の桜大宮瀬の桜涅槃堂桜見晴台 などがあり、この辺りがメイン会場の見どころの端となる感じだ。時間に余裕のある方は、是非ここまで足を伸ばしてほしい。

ちなみに以前は くるまの桜 という枝振りの良い一本桜があったのだが、 残念ながら現在は姿を消している。


小説『伊豆の踊子』の舞台にも河津桜が!

湯ヶ野温泉に咲く河津桜

ここまでお話ししてきた①②③の河口~峰大橋までの約3.8kmが『河津桜まつり』のメイン会場なら、サテライト会場といった感じの場所が、天城方面へと国道414号を北上した ④湯ヶ野温泉エリア⑤河津七滝ループ橋・七滝温泉エリア だ。

『河津桜まつり』には、エリアごとにそれぞれ異なった楽しみ方があるのだが、川端康成 の小説『伊豆の踊子』の舞台として知られる 湯ヶ野温泉 にも、数は少ないながら河津桜が咲き、また違った趣がここにはある。

伊豆の踊子の宿 福田家

足湯近くの木造橋を渡った先には、あの『伊豆の踊子』ゆかりの宿として有名な 福田家 が、今も明治12年の創業当時の佇まいをみせており、川端康成が滞在した部屋も残されている。何度もリバイバルされた映画『伊豆の踊子』の撮影の際には、美空ひばりや吉永小百合・山口百恵…といった時代のスーパースターが滞在した湯宿であり、福田家はその存在そのものが絵になる旅館となっている。

すぐ横には、川端康成自らが訪れ除幕式を行った 伊豆の踊子文学碑 が建ち、対岸には小説にも登場する共同浴場が残されている。

桜まつりという感じではないが、時間に余裕のある方は、風情ある 湯ヶ野温泉 にも立ち寄ってみてほしい。この機会に 福田家 に泊るのも一興かと思う。


河津七滝ループ橋にも河津桜が咲く!

河津七滝ループ橋と河津桜

そんな『伊豆の踊子』の舞台となった 湯ヶ野温泉 を後にして、さらに国道414号を北上して行くと、やがて道の正面に 河津七滝ループ橋 が姿を見せ、河津七滝 入口の看板が見えてくる。ここを右折し国道の下を行くような感じで進むと、河津七滝ループ橋直下にある無料駐車場に着く。

ここから見上げるループ橋の眺めが素晴らしいのだが、それは別としてこのエリアでは、天城山中に突然現れるグリーンが鮮やかな近代的建造物である河津七滝ループ橋と河津桜のコラボが楽しめる他、そのアクセス途中には 上条の桜 という名物桜もある。

また河津七滝ループ橋を抜けた先にも、大滝 入口あたりより河津桜が見られ、七滝めぐり無料駐車場の入口には 隠居の桜 が咲く。近くには紅葉シーズンに特に賑わいをみせる、大滝や初景滝などを巡る 河津七滝 のハイキングコースもあり、自然を満喫しながらの散策も楽しめる。

シーズンオフということで、ピンクが鮮やかな河津桜とは対照的な色合いの冬景色となるため訪れる人は少ないが、ここまでピンク一色だった脳がリセットされ、戻る頃には河津桜がより華やいだ印象となっているだろう。


忘れ去られたもう1本の桜!

姫桜

『河津桜まつり』からは離れるが、河津七滝ループ橋 から旅館青木の坂方面へ150mほど下った所に、河津桜とは咲く時期も色合いも異なる 姫桜 という忘れ去られた1本の エドヒガンザクラ がある。

2022年に話題となったNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも登場した日本三大仇討ちの1つである「曽我兄弟の仇討ち」で、父の仇として兄弟に討たれることとなった工藤祐経の祖母の 水草姫(みくさひめ)ゆかりの桜だ。水草姫のお墓近くに咲くことから、水草姫の生まれ変わりと伝わる古桜だ。

残念ながら『河津桜まつり』の期間とは開花時期が異なるため、同時に楽しむことはできないうえに、近年は樹木が茂り通りからは見えにくくなってしまった。そうしたことからか、通りにあった案内板も姿を消し、その存在が忘れさられてしまった感があるが、樹高約25mで推定樹齢200年以上の国内最大級のエドヒガンザクラとなっているので、もし樹木の伐採が行われ見えるようになったら別の機会にでも訪れてみてほしい。

この他、河津桜まつりの見どころのところで少し触れたが、時間に余裕がある人は 河津城跡公園 へも足を伸ばしてほしい。河津川沿いに帯状に続く桜並木の遠景が楽しめ、とても絵になる光景が楽しめる。

最近は減ったが、ドローンが無かった時代はよくここからの映像がテレビで流れたものだ。写真に残すもよし、目に焼き付けるもまた良しという感じで、ずっと歩いてきた河津川沿いの道のりを振り返りながら、河津桜まつりを記憶に留めるのにもよい場所となっている。


河津桜のルーツはココにあり!

河津桜原木

最後となったが、河津桜を語る上で外せない『河津桜まつり』とは切っても切れない関係にある、大切な大切な1本の桜の木がある。桜祭り期間中には見物客が絶えない一本桜で、河津駅から1.2kmほど北上した河津町役場に程近い踊子花街道沿いにある桜の木…、この桜こそがすべての始まりとなった 河津桜原木 だ。

推定樹齢70年で、樹高約10m 枝張約10m 幹周115cmの河津桜の古木で、今も生き生きと花を咲かせてくれる。

昭和時代の 1955年2月 に、このお宅の主だった 飯田勝美 さんがたまたま河津川の川原で見かけた腰高くらいの若木を持ち帰り玄関先に植えたのが、河津桜のルーツ となるこの原木だ。この若木は10年がかりで 1966年 にやっと花を咲かせるようになると、飯田家の屋号より「小峰桜」と呼ばれるようになったが、その年の春に飯田さんは花が咲くのを見届けるように永眠した。

その後、飯田さんが発見してから約20年の歳月を経て、大島桜と寒緋桜の雑種にさらに寒緋桜が交雑した自然交配による新種 と判明し、1974年 に晴れて「カワヅザクラ(河津桜)」と命名され、翌 1975年4月河津町の木 となった。

その間、名も無いままに1月下旬より花を咲かせるという開花時期の早さと、一ヶ月近く咲き続けるという開花期間の長さ、そして何より大きく鮮やかなピンクの花を咲かせるという花の美しさにより、河津町だけでなく南伊豆を中心にあちこちで花を咲かせるようになっていた。

そして 1991年 に『河津桜まつり』が始まると、前述のように20世紀末に大ブレイクし、21世紀の幕開けとともに瞬く間に全国にその名が知れ渡り、今や東北にも九州にも河津桜の名所がいくつも見られるまでとなり、ホームセンターでも普通に苗木が売られ個人宅の庭先にも咲くまでとなった。

わたしも10年ほど前に一本の河津桜の苗木を庭に植えたが、ソメイヨシノと違って虫がつかず手間もかからず大きく育ち、毎年2月に鮮やかなピンクの花を咲かせ目を楽しませてくれている。


川原の一本の若木が咲かせた大きな夢!

河津桜まつり

この一軒の庭先より始まった河津桜の物語は、今や河津の町に大きな花を咲かせただけでなく、70年の歳月を経た今も尚、全国各地に 笑顔喜び感動 の輪を広げている。河津桜は、昭和・平成・令和と時代を越え押しも押されもせぬ 河津町のシンボル であり、町の宝 であり、日本中に早い春を届け日本中を元気にしてくれている。

このサイトで最初に河津桜をご紹介した頃は、"河津桜を見たことが無い方は、是非ご自身の目でこの特徴的な桜の花を観賞していただきたい…"などと書いていたが、今や毎年のように全国ニュースに登場し、新聞や雑誌・SNSの投稿などでも頻繁に採り上げられるまでとなり、見たことが無い方の方が少なくなってきていることだろう。

そんな日本中に新しい風を吹き込んだ 河津桜原木 は、2005年河津町の天然記念物 に指定された。飯田さんが見つけてから50年となる年だ。

だが、早い春の訪れを告げ日本中を元気にしてくれる河津桜の原点となったこの原木の価値は、そんなものだろうか。他の桜に比べて歴史が浅いことや原木そのものに特別珍しさがある訳ではないことは充分理解できるが、できるものの、個人的には静岡県の天然記念物、いや国の天然記念物といっても過言ではないだけの "" を日本中に与えてくれていると思う。

それを知ってか知らずか、町内8000本ある河津桜の中で真っ先に花を咲かせ、河津川の桜並木よりもやや早く満開を迎えるこの飯田さんが残してくれた 河津桜原木 は、飛梅の『…主なしとて 春を忘るな』ではないが、今年も変わらず鮮やかなピンクの花を咲かせることだろう。


河津桜まつりで、笑顔・喜び・感動を!

河津桜と菜の花の共演

長々『河津桜まつり』について語ってきたが、静岡に移住するまで東京育ちの私にとっては、桜と言えば ソメイヨシノ が当たり前だった。入学式も淡いピンクの花びらが舞う中、心新たに登校したものだし、花見と言えば上野公園や新宿御苑・井の頭公園でどんちゃん騒ぎをしたものだ。

それが静岡に住むようになりこの 河津桜 に出逢ってからは、一気にこの桜に魅了され、今ではソメイヨシノよりも早咲きのこの桜が主となっている。もちろん今でも道に落ちた花びらが風で舞い上がったり、太陽光に透けるソメイヨシノのうっすらとした淡いピンクの花は、それはそれで郷愁をそそるものだが、一際鮮やかなピンクで何より華やかな河津桜は、写真映えもしてとても絵になる桜であり、見ていて気分も明るくなる。

また短命なソメイヨシノには、短い命ゆえの儚さがあるものの、現実的には年度末でバタバタと仕事に追われ休みがとれないまま花見の機会を逸していた自分には、次の休日まで、さらに翌週でも散らずに待っていてくれるこの河津桜は、とてもやさしく感じられた。

河津川沿いに咲く河津桜

そんな『河津桜まつり』は、2月より1ヶ月間と長期間開催される。ソメイヨシノのように1週間で葉桜になるということはない。125万人が訪れた2000年頃は、道路事情や駐車場・安全対策などキャパオーバーで様々な問題が顕在化したが、今では駐車場をはじめ新しい橋や道の拡幅なども行われ、町の受け入れ態勢も整い、また100万人が訪れる日を楽しみに待っている。

『河津桜まつり』に訪れたことが無い方はもちろん、昔訪れてあまりの混雑ぶりに懲りたという方も、生まれ変わった町の様子とともに桜見物を楽しんでほしい。昨今、何かと暗い話題が多い世の中だが、こういう時だからこそ変わらず元気に花を咲かせ、笑顔喜び感動 を届けてくれる河津桜に逢いに行ってほしい!

星★聖の河津桜まつりの3つのポイント!

大きく育った河津桜の一本桜を巡ろう!

河津桜原木 をはじめ、かじやの桜・役場の桜・上河原の桜・豊泉の桜・音蔵の桜・涅槃の桜・大宮瀬の桜・上条の桜・隠居の桜などの一本桜があるよ! 夜間ライトアップされる名木もあるので、昼間とは違った幻想的な立ち姿も楽しもう。

歩き疲れたら足湯でホッコリしよう!

河津桜を愛でながらホッコリできる、さくらの足湯処豊泉の足湯処・河津三郎の足湯処 がある他、源泉が噴き上げる 峰温泉大噴湯公園 にも足湯があるよ! タオル持参で訪れよう!

桜並木の散策だけじゃなく、遠景も楽しもう!

涅槃堂 近くの桜見晴台や河津城跡公園より、河津川に続く桜並木の遠景を楽しもう!

河津桜まつりの見どころ

温泉マイスター 星★聖(ほしたかし) 星★聖(ほし たかし)

河津桜まつりのおすすめ時期

1月河津桜 2月河津桜まつり 3月河津桜 4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月 

河津桜まつりの基本情報

名称 河津桜まつり
読み方 かわづざくらまつり
英訳 Kawazu Cherry Blossom Festival
Kawazu-zakura Festival
Kawazu-zakura Matsuri
所在地 河津町 河津川沿い
駐車場 あり
お問合せ 0558-32-0290(河津町観光協会)
公式HP 河津桜まつり
するナビ 河津町の観光スポット
アクセス ①伊豆急行線「河津駅」徒歩5分
②伊豆箱根鉄道「修善寺駅」
⇒東海バス「河津桜観光交流館」下車 徒歩4分

河津桜まつりのPR

河津桜まつりのTips
河津温泉郷 今井浜温泉 湯ヶ野温泉 金目鯛 を食べる! わさび丼 を食べる! 近くの【うまい店】を探す! 近くの【ゴルフ場】を探す! 近くの【レジャー体験】を探す! 河津への厳選ツアー

河津桜まつりのカテゴリー

河津桜まつりの地図