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明徳寺 Vol.19 明徳寺(伊豆市 湯ヶ島)
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明徳寺 湯ヶ島
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『明徳寺』をご覧になるにあたって
お寺なのに神様が有名?な「明徳寺」

伊豆半島のど真ん中を南北に貫く、国道136号線から国道414号線に入ってしばらく走ったところに、お寺なのに神様が有名な、ちょっと変わったひとつの古刹があります。

明徳寺の山門とイヌマキ伊東温泉の「音無神社」の「尻つみまつり」と、稲取温泉の「どんつくまつり」とともに「伊豆三大奇祭」として、毎年8月29日に「東司まつり」が行われるそのお寺が、天城湯ヶ島にある 『明徳寺』(みょうとくじ)です。

近くには、市町村合併前に天城湯ヶ島町役場だった「天城湯ヶ島支所」や、伊豆の名旅館として名高い「嵯峨沢館」などがあります。

「明徳寺」は、正式名称を「金龍山 明徳寺」といい、南北朝時代1391年(明徳2年)に開基されたお寺とされています。

江戸時代に、曹洞宗のお寺となり現在に至っていますが、ご本尊は、「拈華釈迦牟尼仏」(ねんげしゃかむにぶつ)となっています。

明徳寺のイヌマキ国道を折れてすぐに駐車場があり、その前に並ぶお土産屋さんの中を通り抜けて上って行くと、やがて左手にこの「明徳寺」の境内が現れてきます。

「明徳寺」の駐車場までの道のりは、国道沿いにも、あちこち目印の看板が立っていますので、たどり着くのにそう迷うことはないかと思います。

「明徳寺」の山門前には、石段を覆いつくすほど大きな「イヌマキ」の木が立っていて、樹齢が600年と言われており、伊豆市の「天然記念物」になっています。
 
高さが約15mで、根周りが5mを超えており、巨木ランキングで全国2位に相当するとも言われています。

言われなければ、素通りしそうな木だけに、ちょっと驚きでもあります。



トイレは修行の場!

のどかな地方の田舎に佇む、一見どこにでもありそうなお寺に見えるこの「明徳寺」ですが、「明徳寺」が有名なのは、「東司まつり」という名称でもお分かりのように、「東司」(とうす)=トイレにまつわるお寺としてです。

明徳寺山門「東司」は、禅宗では、お風呂場である「浴堂」、坐禅を行う「僧堂」とともに、「三黙道場」(さんもくどうじょう)のひとつとされており、修行の場として一切の私語が禁じられた場所となっています。

「東司」で用を足すことも、心身を清める修行の場であり、このことは、曹洞宗の開祖である「道元」が書かれた「正法眼蔵」(しょうぼうげんぞう)の「第54巻 洗浄」の中でも、事細かにその作法が示されています。

明徳寺の境内女性はともかく、男性は話しながらの連れションなど、誰しも経験があることですが、仏の道においては、恥ずべき行為のひとつとされているようです。

そんな「東司」と深い関連を持つ「明徳寺」は、「東司の神様」などと呼ばれ、「トイレの神様」としての信仰が厚く、訪れる方のほとんどが、曹洞宗の禅寺としてのご本尊よりも、この「東司の神様」目当てで訪れます。

ご本尊より脇役が有名になっているお寺としては、東京の「柴又帝釈天」などが有名ですが、この「明徳寺」もまたそのひとつで、ご本尊である「拈華釈迦牟尼仏」を知らない方が、訪れる方の大半なのではないかと思われます。



トイレの神様!烏枢沙摩明王
 
お寺に神様?という疑問も深まり、いよいよ不思議な世界へといざなわれる訳ですが、この「明徳寺」で、ご本尊をも凌ぐ人気を博する「トイレの神様」とされているのが、正面右手にある「うすさま明王堂」の裏手に祀られている、東司の守護神 「鳥枢沙摩明王(烏蒭沙摩明王)」(うすさまみょうおう)です。

明徳寺の境内「鳥枢沙摩明王」は、もともとインドの神話に登場する火の神様アグニ」で、梵名を「ウッチュシュマ」といい、この世の不浄を清浄と化す力を持つとされています。

天台宗においては、「金剛夜叉明王」(こんごうやしゃみょうおう)に代わり、「不動明王」・「隆三世明王」(ごうざんぜみょうおう)・「軍荼利明王」(ぐんだりみょうおう)・「大威徳明王」(だいいとくみょうおう)らとともに、「五大明王」とされており、北方の位置に配されています。

明徳寺の境内火頭金剛」とも言われる「烏枢沙摩明王」は、人間が生ずる様々な煩悩が、聖なる仏の世界へ波及しないように、火を持ってそれらを焼き尽くすとともに、如来の教えに従わない者たちを、憤怒の相にて教化しようとする仏様で、特に不浄の場として象徴的だったトイレに祀られる様になってからは、下の病気で悩む多くの人々を救ってきたとされ、民衆の信仰を広く集めるようになりました。

「烏枢沙摩明王」が、東司に祀られているお寺は、全国にはいくつも存在し、それ自体特別珍しいことではありませんが、「明徳寺」のように、そこだけがクローズアップされ信仰の対象となっているお寺は、全国でも他にあまり例がないようです。



♪オン クロダノウ ン ジャク ソワカ

そんな「鳥枢沙摩明王」をお参りする際に発せられる言葉が、「オン クロダノウ ン ジャク ソハカ」という「真言」(しんごん)です。

真言とは、サンスクリット語を音写したもので、発音そのものに意義があり、真理を凝縮した呪文的な言葉とされています。

明徳寺 「鳥枢沙摩明王」お札この「オン クロダノウ ン ジャク ソハカ」にどのような意味がこめられているのか、詳しいことは?ですが、はじめに登場する「オン」は、慣用的な表現で、真言では多く見受けられ、漢字では「帰命」(きみょう)と書かれます。

文字通り、帰命することを意味しており、仏の救いを信じて、身命を投げ出し従うこととされています。

最後の「ソワカ」は、「成就」と書かれ、これもそのままの意味と思われます。

真ん中の「クロダノウ ン ジャク」は、未だに?ですが、この真言は、唱えることに意義があるわけで、とにかくこの「鳥枢沙摩明王」の前では、この真言を唱えることが大切なようです。

ちなみに、この真言は、個々の仏にそれぞれあるわけで、大日如来なら「オン アビラウンケン」、弥勒菩薩なら「オン マイタレイヤ ソハカ」、帝釈天なら「オン シャキャラヤ ソハカ」などとなります。

なかなかひとつひとつ覚えられるものではありませんが、興味のある方は、真言に関する専門書も何冊か出ていますので、読んでみてください。

どこまで信仰心を高めていくかは個人の自由であり、唱えるか否かも自由ですが、この「明徳寺」を訪れ、「鳥枢沙摩明王」のお札を購入されたならば、自宅のトイレに貼られて、用を足す際に他にすることも無いでしょうから、唱えてみてはいかがですか。

そのうち、道元の教えのとおりに、トイレが修行の場となり、仏と心をひとつにされる日が来るかもしれませんよ。



お参りのしかたが???

そんなトイレの神様「明徳寺」ですが、初めてこの「明徳寺」の「鳥枢沙摩明王」をお参りする方は、おそらくこの東司に入った瞬間、どうしていいのか?悩むかと思われます。

明徳寺の東司わたしは、たまたま一緒になったツアー旅行のガイドさんの言うとおりに、見様見真似でお参りしましたが、おそらくひとりだったら、どうしたらいいのか分からずに、しばらく誰かお参りするのを待っていたかと思います。

この「鳥枢沙摩明王」をお参りするのに、絶対的な決まりがあるわけではないのですが、初めての方は、眼前に広がる光景に呆気にとられ、しばらく立ち尽くしてしまうのではないでしょうか。

この東司の内部には、不思議なものがいくつもあり、どれをどうしていいのか?謎だらけなのですが、一般的には、「おまたぎ」と「おさすり」というお参りのしかたがなされています。

「おまたぎ」は、正面に鎮座する「鳥枢沙摩明王」を祈りつつ、床にある格子状の雪隠にまたがって、先々下の世話にならないように祈ります。

格子の奥には、お賽銭が見えますが、入れるのが良いのかどうかは、みなさんのご判断にお任せします。

明徳寺の東司「おさすり」は、 写真でもお分かりのように、自然木で形どられた男女性器を撫でるもので、こちらも下の健康を祈願する目的で行われます。

この他にも、木や石の奉納物が見受けられ、さすられたり拝まれたり、いろんな形で健康祈願の対象物とされています。

若い方は老後のことなど、なかなか現実味がないかもしれませんが、病気による失禁や、子供のおねしょなどで悩まれている方や、今現在下の世話にならずに健康でいられることに感謝の意をこめてお参りする方も少なくないようです。

健康でいられることが一番の幸せなのですから、みなさんも伊豆を訪れた際には、是非ともこの「明徳寺」に立ち寄って健康祈願をしてみてください。



「授与品所」というよりは、売店!

この「明徳寺」には、「トイレの神様」である「鳥枢沙摩明王」以外にも、いくつか変ったものがあります。

明徳寺の招福大黒天まず「鳥枢沙摩明王」をお参りしたツアー客一行が、続けて列をなすのが、本堂右手のお堂にある「招福 大黒天」です。

ここにも神様が登場するわけですが、この「招福 大黒天」は、湯ヶ島地区の「七福神」のひとつとなっており、福をもたらすとして行われる「七福神めぐり」の一環として、この「明徳寺」を訪れる方もいらっしゃいます。

また、「鳥枢沙摩明王」同様、ご年配の方に人気なのが、境内にあるその名もズバリの「ぼけ封じ観音」です。

こちらも下の世話同様、老後の心配事のひとつであるだけに、ほとんどの参拝客がお参りされているようです。

そして、そんな「招福 大黒天」や「ぼけ封じ観音」に負けず劣らず人気なのが、昭和の時代のガード下のお店を彷彿させる「授与品所」です。

明徳寺の授与品所授与品所というよりは、売店という言葉の方が似合う感じのこの場所には、多くの人だかりが出来ており、自宅のトイレに祀るためのお札とともに、「霊験と御利益の肌着」として、ショーツズロース猿股(ふんどし)など、最近では耳にすることが少なくなった呼び名の下着類が、たくさん販売されています。

ご祈祷済みのこれらの下着類を身につけると、やはり下の世話にならなくて良い・・・ということで、ご年配の方々を中心に買われていく方が多いようです。

お札はともかく、ここまでくるとさすがにちょっと・・・と抵抗がある方もいらっしゃるでしょうが、試してみたい方は購入してみてください。



伊豆三大奇祭 明徳寺「東司まつり」

平日でも、ご年配の方を中心に賑わいを見せる「明徳寺」ですが、一年の内で最も賑わうのが、冒頭でも触れました、「伊豆三大奇祭」のひとつである「東司まつり」の時です。

東司まつり 「子供相撲大会」毎年、夏の終わりを告げるこのお祭りでは、境内に露店が並び、奉納相撲として「子供相撲大会」などが行われます。

この奉納相撲は本格的なもので、毎年この相撲大会のために、境内には立派な土俵が築かれます。

親御さんたちの歓声が響き渡る中、地元の子供たちが、年に一度の真剣勝負に挑んでいます。

そんな相撲大会が終わると、夏休み最後を飾る花火大会が行われます。

この「東司まつり」には、昔ながらの祭りの風景が色濃く残っており、実にほのぼのしたお祭りですので、タイミングの合う方は、是非ともこの機会に、「明徳寺」を訪れてみてください。

お寺なのに神様が有名なこの「明徳寺」、ちょっと不思議でユニークなその境内を、覗いてみたくなりませんか?
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■所在地 伊豆市市山234-1
■問合せ 0558-85-0144
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