清水清見潟公園の見どころ

清水清見潟公園

清水清見潟公園は、訪れるとまだ先があるの？…と思ってしまう程、約5kmに渡りダラ～っと帯状に続く広さ142,000㎡の多目的公園で、横砂・興津清見寺町・興津本町・興津中町の町名ごとに、大きく4つのエリアに分かれている。

清見潟と呼ばれたこの一帯には、かつて多くの別荘が建ち並んでおり、「興津坐漁荘」で知られる西園寺公望をはじめ井上馨・伊藤博文などの政界の要人や、墳墓の地と願いつつもついに叶わず死の床についた正岡子規など、多くの文人墨客に愛された。

奇跡の一本「薄寒桜」

日本より桜の苗木がアメリカに贈られた…という話は、皆さんどこかで一度は耳にしたことがあるのではないか。

だがそれが、この興津の地にある現在の果樹研究所 カンキツ研究興津拠点（旧農商務省 農事試験場園芸部）からだった…ということになると、それを知る人は静岡県内でも意外と少ない。

1910年に東京より贈られた苗木が、病害虫にやられ現地到着後に焼却処分されたのを受け、東京市長の尾崎行雄は、農商務省の農事試験場長だった古在由直に、苗木作りの調査を依頼した。

これを受け、農事試験場 園芸部長で初代場長の恩田鐵彌、技師の桑名伊之吉、中心人物で後に2代目場長となり退職後に西園寺公望の執事となった技師の熊谷八十三が、興津の試験場の腰かけ山にて、日本の威信にかけ苗木の作成に取り掛かった。

荒川の桜堤より集められた59種の穂木を、山桜の実生の台木に接ぎ木し、青酸ガス燻製などを行い丁寧に苗木が育てられ、その中から気候などを加味し贈るのに適した12種の桜が選ばれた。

1912年2月14日、横浜より再度ワシントンD.C.へ1800本の染井吉野を筆頭に、関山・一葉・滝匂・白雪・普賢象・有明・上匂・福禄寿・駿河台匂・御衣黄・御車返しの12種3020本の桜の苗木が贈られ、3月26日に無事届けられた。

それが現在ポトマック河畔の桜並木として親しまれているその桜のルーツとなるわけだが、その後の戦争により、興津の試験場に残されていた熊谷技師らが手塩にかけて育てた桜はほぼ枯れてしまい、戦火を逃れ奇跡的に一本だけ桜の苗木が残った。

それが「薄寒桜」だった。

同じ母樹ながら、寒さに弱いなどの理由で選ばれなかった薄寒桜は、言わばポトマック河畔に植えられた桜とは兄弟桜となるわけで、そこから薄寒桜を愛する地元の人々の努力の末に、現在薩埵峠など興津周辺で1,000本超にまで薄寒桜が育てられ、毎年多くの花を咲かせ人々を喜ばせるまでとなった。

興津の試験場に残された奇跡の一本となった初代の薄寒桜は、2005年より花が咲かなくなり、残念ながら2008年に枯れてしまったが、この桜にかけた人たちの想いは、今も引き継がれ生き続けている。

ちなみに、この薄寒桜と熱海桜は非常に似ていて、同一もしくはかなり近い品種とみられている。

全米桜の女王 興津親善訪問記念植樹

2009年5月7日に、ニューメキシコ州出身で第61代全米さくらの女王となったタティアナ・デュランさんをはじめ、後見人のトリッピー・ペンランドさん、第22代日本さくらの女王 数井えりさん、日本さくらの会理事だった工藤園子氏が、当地を訪れた。

その際に「全米桜の女王 興津親善訪問記念」として植樹されたのが、この薄寒桜だ。

全米桜の女王は、毎年春にワシントンD.C.のさくら祭りにて、55州の代表の中から選ばれるもので、1948年より全米州協議会の主催で行われており、言わば日米親善のシンボル的存在だ。

この薄寒桜の隣には、1912年にワシントンD.C.へと贈られた桜の寄贈100周年を記念して、2012年に米国政府より「里帰り桜」として贈られた、ポトマック河畔に植えられていた染井吉野が植樹されている。

余談ながら、写真奥の現在静清バイパスが走るこの塀の向こうに、かつて風光明媚な清見潟の景色が広がっていた。

富士山と薄寒桜

清水清見潟公園内を歩いていると、所々で富士山を目にすることができる。

だが大きな時代の流れの中で、交通網の整備や高度成長とのトレードオフにより失われていった清見潟には、かつての面影は全くという程無い。

もし眼前の駿河湾越しに三保の松原を望み、背後には雄大な富士山を仰ぎ見るという、ダブル世界遺産の眺望が楽しめる風光明媚な清見潟が残っていたとしたら、間違いなく今も一大観光地となっていただろう。

平和で便利な今の時代を生きる者としては、つくづく清見潟が失われたことが惜しまれるわけだが、これも時代の流れの中では仕方のないことだったのだろう。

大正天皇が海水浴をされた清見潟！

1889年2月に東海道線が開通し、7月に清見寺に行啓された皇太子時代の嘉仁親王（よしひとしんのう）、後の大正天皇が、翌1890年と2度に渡って清見潟で海水浴を楽しまれたことから、園内に『皇太子殿下御海水浴跡』の石碑が建てられている。

また清見寺より海水浴へと向かわれた際に通られた道は御成道として、清見寺門前には『大正天皇在東宮海水浴御成道』の石碑も建てられている。

健康遊歩道でリフレッシュ!?

興津生涯学習交流館から200m程東へ行った所に、足ツボを刺激する健康快道系の健康遊歩道がある。

健康遊歩道って？とか、健康快道系とは何ぞや？という方は、「静岡県の健康遊歩道」を見て頂くとして、細長い公園を延々と歩いてきた方は、ここで周囲に咲く薄寒桜などを愛でながら、足を労わりリフレッシュしてみてはいかがかな!?

清見潟梅園

薄寒桜が咲き終わる頃、あまりその存在は知られていないが、清水清見潟公園の興津清見寺町エリアにある「清見潟梅園」に紅梅・白梅が咲きだす。

しみずマリンロード沿いの富士方面への静清バイパス入口近くで、すぐそばに無料の駐車場もあるので、通りがかりに是非立ち寄ってみてほしい。

梅園横には、明治時代の1900年に、病床にありながら「興津が墳墓の地」として興津の松川医院を借りる段取りまでしていながら、ついに敵わず1902年に生涯を終えた、正岡子規の「野菊の花壇」と歌碑がある。

清水興津図書館・興津生涯学習交流館

シンボルとなる塔屋とステンドグラスが印象的な、2004年6月に地域のコミュニティ拠点として清水清見潟公園内に整備された、生涯学習交流館と図書館の複合施設。景観を配慮した、温かみのある建物だ。

ここの駐車場となっている東側広場を中心に、毎年薄寒桜の開花に合わせて「興津宿寒ざくらまつり」が開催される。

早咲き桜で知られる薄寒桜がズラッと咲くよ！

ワシントンD.C.の桜と兄弟種で、全米さくらの女王お手植えの桜をはじめ、約480本の薄寒桜が園内に咲くよ！

薄寒桜と銅像・石碑などを巡りながら歩こう！

富士山と三保の松原というダブル世界遺産を望む、かつての風光明媚な清見潟の姿を思い描きながら歴史を旅しよう！

清見潟は大正天皇が海水浴をされた地だよ！

清見寺に行啓された皇太子時代の大正天皇が、1889年･1890年に2度に渡り海水浴を楽しまれたよ！

清水清見潟公園の見どころ

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