有東木の神楽とは?
静岡県静岡市北部の安倍川上流域に点在する、7つの白髭神社の1つである 有東木 の 白髭神社 の 舞殿 にて、春と秋の年2回奉納されるお神楽で、2002年2月21日に 静岡市指定無形民俗文化財 に。
例年4月上旬と10月の第2土曜日の年2回執り行われ、定かではないが江戸時代より300年以上続くとされる。
演目としては、1番の『座揃え』~17番の『神返しの舞』まで17演目あるが、舞は2番の『神迎えの舞』からで16演目となる。
一番の見所は、安倍川流域のお神楽では唯一となる『火の舞』で、この他に金銀の紙吹雪を撒きながら舞う『三方の舞』や、4人で剣を振り回す『高嶺の舞』『松竹梅の舞』『恵比寿大黒の舞』などがある。
★開催時期
・ 予定

有東木の神楽 の 広告

有東木の神楽 の 見どころ
なんて読む?"有東木"
静岡県静岡市葵区の北部、JR静岡駅から約30km、車で1時間足らずで着く距離に "有東木" がある。初めてこの地名を目にした方はなかなかすんなりと読むことは難しいだろうが、"有東木" と書いて「うとうぎ」と読む。
山葵栽培発祥の地 として知られ、『静岡水わさびの伝統栽培 ~発祥の地が伝える人とわさびの歴史~』が世界農業遺産・日本農業遺産に認定されている秘境感漂う山葵の里で、江戸時代の1607年には、大御所様と呼ばれた徳川家康にわさびが献上された記録が残る。
以後門外不出とされた山葵の里は、2012年に『ふじのくに美しく品格の邑』に認定されており、政令指定都市の静岡市にあって駿府の市街地とは全く異なる世界観がここにはある。
同じような世界観が感じられる川根の徳山や 松崎 とともに、個人的にも大好きなところだ。
有東木白髭神社がその舞台!
そんな有東木の、安倍川水系に41社、本流上流域では7つ点在する白髭神社の1つである有東木の 白髭神社 を舞台に、例年4月と10月の第2土曜日に奉納されているのが、この『有東木の神楽』だ。
『有東木白髭神社の大スギ群』として静岡市指定天然記念物となっている、推定樹齢500年の大杉が林立する有東木白髭神社の境内に建つ舞殿が、『有東木の神楽』の舞台となる。
静岡市の無形民俗文化財に指定されている名称は『有東木の神楽』で、「有東木の盆踊」とともに"の"を入れて表記されるが、地元をはじめ「有東木神楽」と呼ばれることも少なくない…というか、私の記憶が正しければ、以前は「有東木神楽」が一般的だったと思う。
ちなみに「有東木の盆踊」は、国の重要無形民俗文化財にしてユネスコ無形文化遺産にも登録されている伝統民族芸能で、例年8月14日~15日に 東雲寺 の境内にて開催される。
『三方の舞』
『有東木の神楽』は、1番の『座揃え』から始まり、舞は2番の『神迎えの舞』からとなる。ただし実際に演じられる順番は、舞人や囃子手の都合などもあり、若干異なることもある。
演目の中で個人的に一番印象的だったのは、金と銀の剣に見立てた筒の中に紙吹雪を仕込み、剣の先より少しづつ飛ばしながら舞う『三方の舞』だった。
「清沢の神楽」をはじめ静岡の神楽ではよく見られる舞なのだが、お互い知り尽くした仲という感じで、村の長老というには若いが、3人の息もピッタリで舞う姿にも安定感があった。
特に仕込んだ紙吹雪を最後まで切らさずに持たせるように、少しづつ調節しながら小出しにするのが難しいのだが、穴の開き具合と手の振り加減でうまく紙吹雪の量を調節しながら舞っているようだった。
上の写真の時には、銀の舞人の技が絶妙で、太鼓の音色の強弱でも紙吹雪を舞わせる量を変えていて、その散らせ方も素晴らしかった。
この『三方の舞』を観て以降、他の神楽を観る際には、自然と紙吹雪の舞わせ方が気になるようになった。
『火の舞』
『有東木の神楽』のクライマックスとなるのが、この『火の舞』だ。
トリ前となるこの頃には辺りも薄暗くなり、さらに照明が落とされた中で、始めは採物に火を付けずに舞いが始まる。
しばらくすると、採物の片方だけに火を付けて舞い出し、最後には両方に火を付けて舞う。
舞人がくるくると火の付いた採物を回すので、舞台の端に行くたびに切り絵に火が付くのでは・・・と、無用な心配をしてしまうほど緊張感が漂う演技だった。
ちなみに『火の舞』と言えば、秋葉神社や「徳山神楽」などでも演じられるが、安倍川流域の神楽では、唯一この『有東木の神楽』だけに『火の舞』があるとか。
また、その年により±15分程度の違いはあるが、4月の日没時間は18時過ぎだが10月は17時過ぎと約1時間違うので、秋の『有東木の神楽』の方が、漆黒の中での舞となりやすい。
祭りのあとで…
そうして『火の舞』が終わると、そのまま『神返しの舞』が行われ、祭りは終焉を迎える。
1番の『座揃え』に始まり、舞としては2番の『神迎えの舞』~17番の『神返しの舞』まで16演目あるのだが、どこの神楽もそうだが過疎化による後継者不足などの問題もあり、いつまで観られるのかはわからない。
静岡県の伝統的な民俗芸能も例外ではなく、実際に舞われる演目が年々歯抜けになって行ったり、祭りそのものが消滅したりしているわけで、観られるうちに足を運んでほしい…というのが現実だ。
コロナ後、再開されることなくそのまま消滅してしまった祭りを数多くみているだけに、ただただ『有東木の神楽』が末永く受け継がれていくことを切に願う。

緊張が走る『火の舞』は必見だよ!
安倍川流域で行われる神楽では、唯一の火の舞だよ!

『三方の舞』の紙吹雪に注目!
太鼓の音色の強弱でも変化する、絶妙なさじ加減による紙吹雪の舞わせ方に注目!

祭りの時間帯に注意!
夕刻から始まる民俗芸能が多い中、日没頃には終わりへと近づいているので出遅れ注意!
有東木の神楽 の 魅力


有東木の神楽 周辺の 温泉地‼





有東木の神楽 の 開催時期
1月 | 2月 | 3月 | 4月上旬 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月第2土曜 | 11月 | 12月 |
有東木の神楽 の 基本情報
名称 | 有東木の神楽 |
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読み方 | うとうぎのかぐら |
英訳 | Utougi no Kagura / Utougi Kagura |
郵便番号 | 〒421-2303 |
開催場所 | 静岡市葵区有東木580 (白髭神社) |
駐車場 | あり ※関係者優先の為、うつろぎへ |
お問合せ | 054-253-1170(静岡市観光案内所) |
するナビ | 有東木の観光スポット お祭り |
アクセス | 現在地 からの ルート と 所要時間‼ |
登録・指定 | 静岡市指定無形民俗文化財 |
選定・表彰 | ふじのくに美しく品格のある邑 など |