市民の憩いの場『蓮華寺池公園』
休日には多くの家族連れで賑わい、平日も早朝のランニングから日中のお散歩、仕事途中の休憩場所として、市民の憩いの場となっているのが、藤枝市にあるここ『蓮華寺池公園』です。
"花・水・鳥"をテーマに造られたこの蓮華寺池公園は、藤枝市の中心市街地に位置しており、蓮華寺池を中心に整備されてきた公園で、市の花でもある藤の名所として広く知られています。
また梅や桜・ツツジ・花菖蒲・紫陽花などの四季の花や、公園名にもなっているハスの花が大輪を咲かせる公園としても知られています。
もともと蓮華寺池は、江戸時代初期の1613年に、現在も地名として残されている、若王子や五十海などの農民が、灌漑用の溜め池として掘ったのが始まりとされており、田んぼや生活用水として、農民にとって貴重な水資源となっていたようです。
現在ではその役割を変えていますが、この公園の姿を見れば、今も昔も広く地元の方々に愛され続けている池であることが分かります。
市民の憩いの場として、本当に毎日大勢の方が思い思いに散歩を楽しんでおり、歩けばわかりますが1周約1.5kmと20分程で歩ける絶妙な距離と、池の形が複雑に入り組んでいることから、次々と移り変わるその景色と四季の変化で飽きがこないのが、お散歩コースとして人気の秘密なのかもしれません。
池を見守り続ける弁財天!
そんな蓮華寺池公園の畔の桜の木の下には、水の神である「弁財天」が祀られています。
その昔、この蓮華寺池に突如得体の知れない謎の生物が現れたとのことで、地元の子供たちがその生物に襲われるなどの被害に遭うようになったことから、池を鎮めるために水の神である弁財天を祀るようになったとの伝説が残されています。
それ以来この弁財天は、今も同じく池の畔に祀られており、この蓮華寺池を見守り続けている訳ですが、毎年4月5日には、そんな弁財天に日頃の感謝をこめて、「蓮華寺池弁天祭」が催されます。
今ではそんな池の歴史は遠い過去のものとなり、池の周りでは元気に走り回る子供たちの姿が日常となっており、市民の憩いの場としてこの蓮華寺池公園は、広く愛され親しまれる場所となっていますが、その陰には時代を超えて蓮華寺池を見守り続ける弁財天の存在があり、そのことを年に一度思い出し感謝の意を示すことにより、広く市民の心に刻む機会にもなっているのでしょう。
ちなみにもう一つ、この弁財天からすぐの場所に、庶民に人気の「蓮華寺稲荷大明神」が祀られています。こちらもご利益がありますので、弁財天といっしょにお参りしてみてください。
フジの庭園に立ち寄るべし!
総面積288,000㎡、およそ東京ドーム6個分にも及ぶこの蓮華寺池公園内には、様々な施設やたくさんの草花が咲いているのですが、なんといっても有名なのが、藤枝市の市の花になっている「フジ」です。
蓮華寺池公園の周囲には、第一駐車場・第二駐車場と、約1000台分もの駐車場が用意されているのですが、それでも「藤まつり」が開催される4月下旬~GWにかけては、このフジの花を観ようと県内外から多くの見物客が集まり、駐車場待ちの渋滞ができるほどの賑わいをみせます。
周囲1.5kmの池の周回路沿いには、いくつもの藤棚が設けられており、例年4月中旬~5月上旬にかけて、気品ある紫の花を咲かせてくれます。
特に「日本一の藤の里」を掲げてからの公園の進化は凄まじく、"藤"の名を冠する市として藤枝市の威信をかけて、藤棚の延長や増設が行われてきました。
藤棚も500m余にまで延長され、当初130本程だったフジの木も、今では23種260本程にまで増え、まだまだ拡張途中といった感じで、藤枝市の本気度が公園の変化から感じられます。
中でも池から少し離れた所に設けられた、2022年4月1日に「フジの庭園」に改称された「藤の里広場」が素晴らしく、いろいろな品種のフジが植えられており、まるでフジの花の品評会のような感じです。
まだ完全ではないですが周囲をぐるりと藤棚が取り囲んでおり、広場全体が円形の1つのコンセプトを持った作品のようでもあり、まるで花博の出展作品のような感じです。
とかく藤というと藤棚を見上げての観賞が一般的ですが、ここでは低木として、同じ目線でじっくりと藤の花を愛でることができ、藤棚とは違った観賞方法がとても新鮮です。
残念ながら少し高台にあり、池の周回路から見えないこともあり、まだまだこのフジの庭園の認知度が低いような気がします。
池の畔の藤棚だけ観て帰る人がほとんどで、そういう私も最初の年は知らずに帰ってしまった一人なのですが、このフジの庭園を観ずに帰ったなら、蓮華寺池公園のフジの花の半分も楽しめていないと断言できますので、是非足を運んでみて下さい。
ちなみに2022年の改称は、藤の里広場という名称がやっとネット上で飛び交うようになったタイミングであり、また蓮華寺池公園は「〇〇広場」という名称で園内をエリア分けしているだけに、なんで?と疑問符がつくいきなりの変更で、個人的には「藤の里広場」のままで良かった気がしています。
藤枝市が決めたことなので仕方ないことなのですが、以前より指摘しているのですが、藤枝市は名称をコロコロ変える所があり、地図上の表記や口コミ・ハッシュタグの影響などを考えると、イベントや観光スポットが浸透しない一因になっている気もします。
個人的には名称の設定は外部への影響も考えて慎重に行ってほしいなぁ~と思っているのですが、それはさておき、藤の里広場であれフジの庭園であれ、ここのフジの花の素晴らしさには関係ないわけで、このフジの庭園を訪れてから、フジの見方が一段階上ったような気がします。今までフジは木として一括りだったのが、"品種"の違い、"花房"の違いまで気にして観賞するようになっている自分に気づきます。
わかりやすく言えば、すべて同じに見ていた桜が、いつしかソメイヨシノ・大島桜・河津桜…と見分けるようになったのと同じように、フジとしてどれもこれも一括りだったのが、フジの中で違いを見比べるようになり、藤棚全体を漠然と見てせいぜい花房の長さに目が行くくらいだった自分が、花の1つ1つにまで目が行くようになり、微妙な色合いの違いやカタチの違いが目に留まるようになっています。
フジの庭園までは、坂道を上り下りすることにはなりますが、今まで真剣にフジの花と向き合ったことが無い方は、是非立ち寄ってみて下さい!
ちなみにこの時期、同じ藤枝市内の「白藤の滝」や「白ふじの里」では、その名の通り白藤が咲き、例年5月5日の子供の日に「白藤まつり」などのイベントが開催されます。
お祭り自体は一日で終わってしまうのですが、白藤の観賞はイベントに関係なく楽しめますので、車で30分もあれば行ける距離ですので、是非こちらのフジも楽しんでみて下さい。
埋もれたお花見スポット!
藤の名所として知られる蓮華寺池公園ですが、公園全体を見渡した景観として一番美しい季節は、池の周りがにわかに華やぐソメイヨシノが咲く季節です。
静岡県中部の"お花見スポット"として素晴らしい所なのですが、あまりにも藤の名所としての印象が強く、その陰に隠れてしまっている感があります。
また近くに、藤枝でお花見と言えば「金比羅山・瀬戸川桜まつり」と言われるほど、県内屈指のお花見スポットとなっている瀬戸川の桜並木があることも影響しているのかもしれません。
藤枝市観光協会も、"藤枝の桜まつり"として全面的にこちらを推していて、ポスターや宣伝でも金比羅山や瀬戸川の文字は踊っていても、蓮華寺池公園の文字は見当たりません。
いずれにせよ訪れてみれば驚くほどの桜の名所な訳で、実に1100本ものソメイヨシノが園内に植えられています。この数は、静岡県中部の桜の名所として知られる静岡市の駿府城公園や御殿山よりも、焼津市の木屋川堤よりも、そして何より金比羅山緑地公園や瀬戸川の桜並木よりも多い本数となっています。
池の畔を歩けば、水辺の桜の絵になる光景に出逢えますし、蓮華寺池公園の石標辺りから池越しに丘を見渡せば、ピンクに染まった桜の山のような光景に出逢えます。
ただでさえ池の畔の周回路を歩くのは、気分が晴れて気持ち良い訳ですが、この時期の周回路の散歩はさらに格別です。
フジや紫陽花などは、花が咲くそのエリアまではただ歩くのみとなるのですが、ソメイヨシノが咲く季節は、ソメイヨシノが植わるエリアでは桜の木の下を歩いて楽しめ、ソメイヨシノが植わるエリア以外では、ピンクに染まる遠景が楽しめるので、一周歩いていて飽きることがありません。
さらに一周しただけではもったいないという気持ちにもなり、もう一度あそこの景色を観てみたい…という場所が出てくる訳で、そのまま帰りたくなくなるのが常です。
予算的な都合や、祭りとしてはすぐ後に藤まつりが控えていることもあり、蓮華寺池公園でこの時期大々的にイベントをすることが難しいのはわかりますが、何もせずとも埋もれさせるのはもったいない気がします。
むしろ屋台や特別なイベントなど何も無い自然なお花見こそが、ここには似合っている訳で、もっともっと積極的に藤枝市のお花見スポットの"ダブル看板"としてアピールしてもよいのでは…という気がしています。
藤まつりには行くけれどそれ以外は…という方は、是非一度お花見シーズンに訪れてみて下さい!
こちらも埋もれた花菖蒲の名所!
お花見が終わり、藤まつりも終わると、花菖蒲の季節となります。
蓮華寺池の南西の奥まった所に、案内図で言うとソメイヨシノの下に「菖蒲園」があります。
花菖蒲の具体的な品種などはわかりませんが、よく見られる定番の花から、キハナショウブ、そして珍種で豊橋加茂菖蒲園とここにしかないという、1995年に誕生した『藤枝』という品種などが植えられています。
他に比べて非常に開花が早い極早生種とのことで、藤枝蓮華会の皆さんが中心となって、大切に栽培されています。
園内にはボードウォークが設置されていて、菖蒲園の中を歩けるようになっており、間近で花菖蒲の花を観察したり、アップの写真を撮ったりと、遠景だけでなく思い思いに花菖蒲を楽しめるようになっています。
また菖蒲園を望みながらゆっくりできる四阿も設置されており、散歩の休憩がてら立ち寄る人、眼前に広がる菖蒲園をのんびりと眺めている人、おやつを食べながら談笑する人など、いろんな光景が見受けられます。
花菖蒲もまた、他に魅力的な花が多すぎるため埋もれがちですが、単独の菖蒲園だったら、もっともっと騒がれる"花菖蒲の名所"となっています。
まさに "蓮華" 寺池!
夏の蓮華寺池の主役はというと、公園名にもなっているハスとスイレンです。"蓮華=ハスの花"ということで、その名にふさわしい光景が、池の北側や菖蒲園の手前などに広がっています。
冬場は影を潜めその存在すら感じさせないのですが、新緑の季節より徐々に主張しだし、初夏の頃には大きな葉っぱですっかり池の水面を覆い尽くすハス。
花見や藤まつりの時期の蓮華寺池しか知らない人は、こんなにハスがあったんだ…と改めてその存在に驚くのではないでしょうか。
品種的には、『瑞光蓮』や『爽風』『陽山紅蓮』などが見られる他、一角にいろいろな蓮が植えられている所があり、そこでは『吉永』『バーニジア黄蓮』『真如蓮』『暁風涼月』『ベリーズ・ジャイアント・サンバースト』などが観られます。
またハスは本当に奥が深く、その花に魅了されハマる方も多いようですが、静岡では境内に約260種のハスが花を咲かす沼津の蓮興寺や富士の代通寺などが有名です。いずれも大きな甕で栽培されていて、1つ1つ花をじっくり眺める観賞スタイルとなりますが、蓮華寺池の観賞スタイルは、一面にドーンんと広がるハスを散策しながら眺めるかたちとなり、新潟の高田公園で観た光景に似ています。
蓮・睡蓮と漢字で書くと似ているように、ハスとスイレンの違いがわからないという声をよく聞きますが、蓮華寺池公園では一緒に植えられていて、7月頃なら同時に花を観られるので一目瞭然です。
水上高く咲くハスと水面に咲くスイレン、葉に切れ込みがあるハスと切れ込みが無いスイレンと、見比べればすぐに理解できると思います…と、普通ならこの説明で終わりなのですが、厄介なのが「オニバス(鬼蓮)」です。
池の北側の一角に、『天然記念物 スイレン 鬼蓮の保護育成池』と書かれた看板が掲げられたオニバスの群生地があり、これがいろんな意味で紛らわしいのです。
まずオニバスは、ハスと名がつくスイレン科の植物で、私もそうでしたが知らないと看板に"スイレン"と書かれていることで首を傾げます。
そして成長時期がズレていて遅いことから、ハスとスイレンが見頃の7月頃に訪れると、成長前で巨大な葉はまだ広げておらず、スイレンと同程度の小さな葉を、ハスとは異なり"水面"に広げていて、その存在に気づきません。
この時期に訪れた方は、十中八九"鬼蓮"の文字から大きなハスを連想しているので、どれがオニバスか分からず、なんだ無いじゃん…と絶滅したと思うか、看板の奥に花を咲かす普通のハスを、これがオニバスだったんだ…と勘違いして帰ります。
実はその後の8月~9月にかけて巨大な円形の葉を広げ、葉っぱとは裏腹に小さな紫色のハスともスイレンとも異なる不思議な花を咲かせます。私と同じように勘違した方、観てみたいという方は時期をずらして訪れてみて下さい。
ちなみに紛らわしいついでに話をしますと、天然記念物となっているのは蓮華寺池のオニバスではないということと、よく知られている子供が葉に乗るオオオニバスとオニバスは全く違うものだということも付け加えておきます。
私は蓮華寺池で初めてあの看板を見た日から、このようにオニバスについて一定の理解が進むまでに、相当な月日が過ぎて行ったように思えます。とにかく紛らわしい尽くしの蓮華寺池のオニバスです。
四季の花が咲く"ギネス認定"公園
フジ、桜、花菖蒲、ハス…と、蓮華寺池公園に咲く花を紹介してきましたが、蓮華寺池公園にはまだまだたくさんの季節の草花が、時期を変え場所を変え花を咲かせます。
1月下旬頃から徐々にウメが咲きだします。見頃は2月下旬から3月にかけてですが、「梅園」が整備されてからの蓮華寺池公園は、梅の名所の仲間入りをしており、紅梅白梅約380本のウメの花が早い春を告げます。
同じ頃ツバキが花を咲かせ、そしてお花見の時期には、シャクナゲが見頃を迎えます。案内図で言うと左上の、北西の山間の散策路沿いに約200本のシャクナゲが植えられており、これまた見事な光景を作り上げています。
かなり奥となるため、お花見に来た人たちもスルーしがちですが、一見の価値はあります。
そしてソメイヨシノが散った後、藤まつりまでの間を繋ぐように、ボート乗り場周辺や丘の斜面に約200本の、一般的には"八重桜""ボタン桜"として知られる「サトザクラ」が咲きます。気候にもよりますが、フジと一緒に楽しめる年もあります。
サトザクラの下では、徐々にツツジが花を咲かせ始め、花菖蒲が咲くころから梅雨にかけては、紫陽花の花が池を包み込みます。池の周回路沿いにたくさんの紫陽花が植えられているので、梅雨らしいどんよりとした日でも、しっとりとして逆に趣があり楽しめます。
そして季節は流れ、オニバスの花が咲き終わる頃には、サルスベリや彼岸花・キンモクセイなどが咲き、冬桜や紅葉を経て年が明け、サザンカ・ツバキとまた春がやってくる感じです。
この間にもプランターや池の畔の花壇には、四季の草花が植え替えられ彩を添えています。
都会では年々季節感が薄れ、なかなか日本の四季を感じることができなくなりましたが、一年を通じて季節の花に囲まれたこの公園では、自然と日本の四季が肌で感じられ、実体験とともに季節感が養われていく感じがします。お近くの方は月に一度でも良いので、体感してみて下さい。
ちなみに「花の世界一達成記念碑」があることからお気づきの方も多いと思いますが、2017年3月18日に、池の周りに2周以上となるパンジーやビオラ・ノースポール・フロックスなど約3万株が植わる5100個のプランターを繋げて並べ、3117.17mの世界一長い花の列としてギネス認定を受けています。
夏の風物詩『藤枝花火大会』
四季を感じる蓮華寺池公園ですが、ハスの花も一段落となり本格的な夏がやってくると、毎年恒例の「藤枝花火大会」が開催されます。
毎年8月7日の花火の日(8・7・日=ハナビ)に行われるので、わかりやすくて忘れることは無いのですが、大規模な花火大会が内陸部の中心市街地で行われるのは珍しく、蓮華寺池公園の山側からの打ち上げとなります。
昔と異なりすっかりこの蓮華寺池公園周辺は、住宅団地として分譲が進み民家も近いため、主催する側もいろいろ気を使い大変なようですが、花火師さんたちは、この山の地形に苦労しているようです。
何ヶ所かに分かれて打ち上げられるのですが、平坦部が限られていることや、年々進化していく複雑な仕掛け花火の設置など、毎年試行錯誤の繰り返しだとお聞きしました。
尺玉やスターマインなど、全国的に見れば特別目新しい花火が上がるわけではありませんが、それでも約5000発が夏の夜空に大輪を咲かせるこの藤枝花火大会は、蓮華寺池公園には欠かせない夏の風物詩となっており、訪れた見物客を楽しませてくれます。
特に打ち上げられた花火が水面に反射する光景は美しく、水面が静まりかえった時には、キレイに花火が映りこみ幻想的な雰囲気に包まれます。ただ無風だと煙だらけで花火が見えなくなってしまうので、上空だけ山側へと風が吹いてくれれば最高な花火日和となります。
滑りが違う!グリッサンド型
四季の草花に花火大会と、楽しみがいっぱいの蓮華寺池公園ですが、子供たちの中で一番人気となっているのは、ちょっと違ったもののようです。
いつも子供たちのはしゃぐ声が聞こえ、休日には順番待ちの行列までできる人気ぶりとなっているのが、丘の上から一気に滑り降りる「ジャンボすべり台」です。
以前はすべてローラースライダーとなっていて、コロコロ回転する底面を滑って行くものでしたが、2010年に一部がグリッサンド型のすべり台となり、新しく生まれ変わりました。
新型となった背景には、老朽化もあったようですが、とにかく滑るこの抜群のスベり心地があるようです。
旧型のローラースライダーでも、子供たちはなんのそので全く気にしていませんでしたが、直接お尻で滑るには少々痛い感じもしていたので、そこらへんもあったのかもしれません。
そんな新生ジャンボすべり台は、並行してあった以前の赤のローラースライダーが24mの黄色のグリッサンド型に、青のローラースライダーが54mの赤色のグリッサンド型となり、その上にあった黄色はそのままローラースライダーとして残されていましたが、現在は使用禁止となっているようです。
一番古くなった80mのローラースライダーの滑り口からは、蓮華寺池公園をはじめ藤枝市内が一望でき爽快でしたので、一日でも早くグリッサンド型のすべり台になれば…と思います。
この蓮華寺池公園のジャンボすべり台は、町中の公園にある滑り台とは迫力や滑りが全く異なり、そこそこ長い時間滑っていられますので、ここに人気の秘密があるのかもしれません。
ちなみに子供向けと言えば、他にもカラフルな複合遊具が人気の「子供広場」があります。
幼児向け・児童向けとステッカー表示もされており、安全などにも配慮された遊具となっていて安心して子供たちを遊ばせることができますので、是非利用してみて下さい。
付き添いが必要な幼児は別として、近くに四阿やベンチなども設けられていますので、疲れた時は座って遠くから見守ることも可能ですよ!
登らなきゃもったいないよ!
そんなジャンボすべり台の滑り口から続く高台には「芝生広場」があり、『天と地と人』と題したモニュメントがあります。
このモニュメントは、大地を示す那智黒石の円形状の台の上に、古代人の装身具である勾玉を形どった3つの石を中央に配し、それを干支石や方位石でぐるりと取り囲むデザインとなっています。
人と自然と文化の調和を語りかけるもので、古代人の声を時を越え時代を越え語り伝えていくことをテーマに造られたものとなっています。
また芝生広場からは、遠く富士山も眺められ、眼下には蓮華寺池公園をはじめ藤枝市内が一望でき、実に気分爽快な場所となっています。
大抵の方が蓮華寺池公園を訪れても、池の周回路を1周するだけでこの丘に登ろうとはしないのですが、ジャンボすべり台がしたい子供に連れられて、渋々丘に登ってビックリしている親御さんたちも多いようです。
そういう私もこの丘に登ったのは、何回目どころか何十回目かに子供に連れられ登ったのがキッカケでした。
それ以来時間がある時は、健康も兼ね必ず丘に登るルートを歩くようにしています。
素通りしてしまうにはあまりにももったいないルートであり、この丘に登らなきゃ蓮華寺池公園の楽しみが半減!と言っては少々大袈裟ですが、確実に見所が減ってしまう感じです。
ここから前述した開花時必見の「フジの庭園」を経由して、丘陵最上部となる標高約110mにある、県の史跡で28基の4~6世紀の貴重な若王子古墳群がある「古墳の広場」や、富士山を見ながら四阿でボーっとできる「富士見平展望台」方面へも抜けられます。
また白糸を引く「滝の広場」の所で、周回路に戻ることもできますので、是非ともジャンボすべり台横から丘に登ってみて下さい。登らなきゃもったいないですよ!
視点を変えて、たまにはボートに!
この他この蓮華寺池公園には、イベント時に賑わう幅15mのステージがある「野外音楽堂」や「日本庭園」「和風庭園」「野鳥の森」などがあります。
また第1駐車場の側には、1987年11月にオープンした、赤レンガが印象的な「藤枝市郷土博物館」と、2005年9月にオープンした「藤枝市文学館」があり、藤枝市の歴史を学べたり郷土ゆかりの文学作品に触れることができます。
地元の人間でもなかなか自分たちの町がどのような変遷を経て現在に至っているのかを知る人は少ないものですが、藤枝市郷土博物館では原始時代から現代まで、ぐるっと1周する間に藤枝の歴史がザクっと把握できるようなつくりとなっており、とても分かりやすいので、興味のある方は立ち寄ってみて下さい。
ちなみに入口前には、軽便鉄道駿遠線で活躍したSL「B15」の展示や、静岡にゆかりのある彫刻家として知られる重岡建治作の『大地より空へ』の作品があります。
静岡市の「清水船越堤公園」や富士市の「広見公園」、土肥の「旅人岬」「恋人岬」、伊東市の「なぎさ公園」など、重岡作品はその特徴的な意匠から誰にでもすぐにわかる彫刻として親しまれていて人気です。
そして忘れちゃいけないのが、池と言えばボートです!
3人~4人乗りの白鳥や恐竜・パンダ・コアラなどの「足漕ぎボート」が、この蓮華寺池公園にはあり、案内図で言うと右下のサトザクラの辺りにボート乗り場となる桟橋があります。
水上からの眺めは、周回路を歩くのとはまた違った楽しみがあり、特に何回も訪れている方ならば、水上からの視点の違いによる景色の変化に驚かれるのではないでしょうか。
見慣れたはずの景色がとても新鮮に感じられる訳で、カップルで溢れかえっているような公園ではありませんので、ご年配の方も、久しくボートに乗っていないという方も是非挑戦してみて下さい。
特に丘が桜色に染まる花見の季節は最高で、水上で揺られながら見る桜は格別ですよ!
また最近では、蓮華寺池保勝会の皆さんが中心となって園内の美化に努めたことから、野外音楽堂の裏手の小川に「ホタル」が自生するようになり、その数は500~700匹と言われています。
例年5月~6月に「ホタル観賞会」も行われていますので、興味ある方は問い合わせてみて下さい。
歩みを止めない!蓮華寺池公園
1991年より進められてきた"日本一の藤の里づくり"の集大成として、藤枝市の威信をかけ、園内の藤棚の拡張や藤の里広場の新設など、藤の名所にさらに磨きがかけられてきた蓮華寺池公園は、さらに梅園や周辺エリアの整備なども進み、花の公園としての魅力がどんどんアップしています。
またジャンボすべり台をはじめとした遊具の刷新や、ステージ施設・四阿・案内板などの整備、駐車場の拡張、そして2017年7月30日には、健康遊歩道の「つぼっこロード」も完成し、その進化は止まるところを知りません。
それにつれてご近所の散歩の方を除けば、静岡県民はそう度々訪れようと思うような公園ではなかったのですが、最近では県外の方はもちろん静岡県民も積極的に訪れるような、一年を通じて楽しめる、何度も訪れたくなるような魅力溢れる公園となりました。
そして2015年12月には、蓮華寺池公園第2駐車場に「スターバックスコーヒー」がオープンし、その向かいには2016年4月1日に、子供の体づくりを応援する運動に特化した子育て支援施設である「れんげじスマイルホール キッズパーク」がオープンしました。
外観とは裏腹に内部はとてもカラフルで、3歳児までの"ちびっこ広場"と、小学生以下の"わんぱく広場"に分かれていて、思いっきり遊べるとても楽しい施設となっています。
さらには冬期にLEDによる「蓮華寺池イルミネーション」がスタートし、藤棚にはLEDで長藤の演出がなされ、FUJIEDAの文字が躍るハート型の電飾の前では、インスタ映えを狙った写真を撮るカップルの姿も見られるようになりました。
冒頭に書いたように、当初"花・水・鳥"をテーマに掲げ造られた公園は、現在そこに"笑顔"が加わり"花・水・鳥・笑顔"をテーマに進化を続けています。まだまだ奥へ奥へと整備も進められていますし、蓮華寺池公園を中心に藤枝の町も活気づいていますので、これからの進化が楽しみです!