はたご池公園とは?
静岡県富士市北松野にある、標高367mの峯山の稜線上に位置する天然池の はたご池 を中心に整備された公園で、トイレや駐車場の他、自然観察路や野鳥観察小屋・芝生広場などがある。
"東海自然歩道" のバイパスコースの「b01.芝川コース」と「b02.野田山コース」の連絡路にあり、JR芝川駅からここを経由して 大代峠 へと向かうルートとなる。
富士山の絶景スポット として知られ、最近では 桜の名所 としての名声も高まり、お花見シーズンには多くの見物客で賑わう。
尚、旧富士川町の 名勝 に指定されていたが、合併後の富士市では名勝そのものの指定を行っていないため取消しとなっている。

はたご池公園 の 広告

はたご池公園 の 見どころ
尾根にありながら水を湛える池!
富士市北松野の標高367mの峯山の稜線上に位置しながら、自然湧水により年間を通じて水を湛える "はたご池"。水深1.5mで池の周囲が約200m、面積が1950㎡となる天然池だ。旧富士川町時代の面積は約500㎡と記されているので、湧水量が増えたのか流れ出す量が減ったのかわからないが、今より岸が狭まった長細い池だったことになる。
不思議なのは、なぜ尾根にありながら常に水を湛えているのかということだ。Googleマップの地形図を見ても稜線上にあるのは一目瞭然で、静寂に包まれた池の雰囲気と相まって実に神秘的だ。
そんな "はたご池" を中心に整備されたのが、この "はたご池公園" で、トイレや駐車場の他、自然観察路や野鳥観察小屋・芝生広場などがある。
昭和時代の1971年10月22日に、松野林友会の協力のもと池の周辺に白樺が200本植樹されている。これには1966年12月1日に着工し、1969年1月31日に完工、同年4月28日に完成式が行われた 峯山林道 が大きく貢献している。
北松野山田から "はたご池" までの3.32kmを幅3.6mの道で結び、町の中心部より40分でアクセス可能としたこの峯山林道は、南松野の佐藤組が請け負い、県が40%、残りを地元と町が30%づつ折半する形で事業費570万円をかけて造られた。
今でこそ当たり前のように車でアクセスしているが、"はたご池まで車で行けます!" として当時は町を挙げてこの林道の開通を喜んでおり、荒澤不動尊からのハイキングコース以外でのアクセスが可能になったことにより、より多くの人が訪れるようになった。
「林友会がはたご池の草刈りと清掃をした…」「はたご池町民ハイキングが行われる…」など、この時代の広報を読み返していると、いかに "はたご池" が町民に愛され親しまれていたのかがよくわかる。
それから半世紀が過ぎ、人口減少や人々の行動範囲の変化、娯楽が増え休日の過ごし方も変わり "はたご池" にかつての賑わいは無い。
それでも今日も富士山は顔を覗かせ、池には水が煌めいている…
はたご池に纏わる2つの伝説!
亀や鯉が泳ぐ "はたご池" には、その名前の由来とされる伝説が2つある。一方は、祭事で神に捧げるための御衣を、この池で身を清めた村娘たちが池の畔に建つ織殿(機を織る神聖な建物)で精魂込めて織ったというもので、神聖かつクリーンで美しいイメージだ。
もう一方は悲話で、麓に日頃より無理難題を押し付ける意地悪な姑と文句も言わず身を紛にして働く気立て良い嫁が住んでいて、ある年に姑が嫁に3日先に迫った秋祭りに間に合うよう布を織るよう言いつけ、夜通し織り続けるも前日になっても織り上がらず、意を決した嫁が織機と織りかけの布を抱え池に身を投じたというものだ。それから小雨の日や夜半には、池の底から悲しげに機を織る音が聞こえてきたとか…
だいたいこのような2つの伝説で、池の畔にも説明書きがあるのだが、最初に読んだ時も "どっちなんだろう?" と思ったが、今こうして記事を書いていてもまた "どっちなんだろう?" となる。
昭和時代の1968年4月18日の広報『富士川』No.91の巻末に『はたご池に泊る』という氏車 十氏の記事がある。その中に「火を起こし、枯れ草に座って一人だけの宴、二つの伝説の内どちらの筋を生かすかを考えつつ酒を飲んだものである」という一節がある。
この氏車十氏、『富士川夜話』の一篇の執筆にあたり、なんと一人で "はたご池" に泊まりどちらの伝説を柱として書くか考えたようだ。ちなみに、この夜は機を織る音は聞こえず静寂の内に過ぎていってしまった…と記している。その頃から、いやもっともっと昔より "はたご池" の2つの伝説は "どっちなんだろう?" と人々を悩ませてきたのだろう。
氏車十氏は、前述の記事の中でいずれ自費出版したいと記していたが、その著書は4年後の1972年3月に『人縫人-富士川夜話-』として出版されている。果たしてどちらの説が採用されたのか…、気になる方は図書館へ!
ドーンと富士山がお出迎え!
現在 "はたご池" は、"東海自然歩道" のバイパスコースの連絡路にあり、JR芝川駅よりここを経由して大代峠へと向かうハイカーの姿が見受けられる。
"東海自然歩道" については、南松野駐車場のページに詳しく記載しているのでそちらを読んでもらうとして、そんなことからこの "はたご池" のピクニックテーブルを囲みランチを楽しむ人たちも多い。
何といってもココの魅力は、上の写真のようにドーンと姿を見せる富士山だ。こうしてランチ風景を眺めていると、思わず富士山が手を伸ばしておにぎりを横取りしそうなくらいの距離感に感じる。とにかく素晴らしいロケーションだ。
そして春になるとそこに彩が加わるのだが、今から半世紀以上前の昭和時代の1968年3月25日に、はたご池周辺に "富士桜" をはじめ4種40本の桜が植樹されている。今も続く地元の秀村医院の元院長で富士川町文化協会長も務めた秀村敏朗が寄贈し「明治百年記念植樹祭」で植樹された桜だ。
今ではそれらの桜がすっかり大樹となり、例年3月下旬~4月上旬にかけてのお花見シーズンには、桜越しの富士山が眺められるようになった。
だが人間というものは現金なもので、お花見シーズンには桜を愛で持ち上げておきながら、葉桜の時は昔を懐かしみ富士山の眺望を妨げていると不満を漏らす。桜が成長とともに段々と富士山の頂に迫り遮って行く一方で、それと引き換えに桜の名所としての名声は高まっているわけで、なんとも悩ましい問題だ。
そんな桜も約60年とすっかり永桜となり、やがて樹勢が衰え枯死したら今度は寂しく懐かしむようになるわけで、昔より『桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿』と言われるように、こればかりはありのままを受け入れるしかないのかもしれない。
この他、6月には池の畔にササユリが咲き、モリアオガエルの産卵も観察できるという。また池の周辺は山菜の宝庫で、わらび・ぜんまい・うど・せりなども採れるというが、私は山菜に明るくないので、クルクルしたぜんまいくらいしかわからない。
次にランチをするのは、あ・な・た!
1968年5月20日の広報『富士川』No.92には、「若葉の五月 家族そろってハイキング」として、大々的に4月21日に行われた町民ハイキングの模様が伝えられており、富士山をバックに "はたご池" でランチタイムを楽しむ写真が掲載されている。
これ以降、毎年4月の第3日曜日が町民ハイキングの日となったようで、半世紀以上前よりここでのランチは格別だったわけで、町民ハイキングは無くなったが、今も昔もそれは変わらない。
だが "はたご池公園" のピクニックテーブルを囲みランチを楽しむのは、何もハイカーたちの専売特許ではない。自然遊歩道を歩かずとも、車でコンビニのおにぎり片手に訪れてもいいわけだ。
私がそうであるように、是非とも皆さんにもぷらっとこのピクニックテーブルで、富士山を眺めながらのランチを楽しんでもらいたい。
さぁ次にこの席でランチをするのは "あ・な・た"、あなたの番ですよ!
名勝ではない名勝地!?
"はたご池" の畔には、写真左の『名勝 はたご池』と刻まれた石碑が建っている。名勝とは、庭園・橋梁・峡谷・海浜・山岳など、芸術上または観賞上価値の高いものについて国や地方公共団体が指定するものなのだが、よ~く見るとその横に『富士川町指定』の文字が刻まれている。
この石碑は、旧富士川町時代に名勝に指定されていたことを物語っているのだが、平成時代の2008年11月1日に富士市に編入合併されたことにより、1971年1月の指定は取消されている。富士市では史跡や天然記念物の指定はあっても、名勝そのものの指定がないからだ。
だが "はたご池" の名勝地としての価値や輝きが無くなったわけではない訳で、指定名勝の肩書はなくとも、今も昔もはたご池は魅力的な名勝地だ!
最後に "はたご池" の近くには、県道76号 富士富士宮由比線沿いに建つ荒澤不動尊の奥之院がある。荒澤不動尊は、聖徳太子の弟子だった荒澤弾正が聖徳太子より授かった不動明王を祀ったお堂で、この奥之院にも不動明王の石像が安置されているのだが、神仏習合の名残で写真右のように鳥居がある。不動尊や不動堂ではよくあることで、これ自体特に珍しいことではない。
ただ訪れる時期によっては只ならぬ雰囲気を漂わせており、写真を撮るのもはばかれる感じの時がある。あくまでも主観だが、鳥居前で何か感じた方は、無理せずにここで引き返そう。機織りの音が聞こえてくる前に…

富士山の絶景スポットだよ!
標高367mのはたご池を中心に整備された公園で、富士山を仰ぎ見るそのロケーションが素晴らしいよ!!

はたご池に纏わる2つの伝説があるよ!
はたご池の名前の由来となった伝説は、どっちなんだろう?

はたご池公園でのランチは格別だよ!
コンビニのおにぎり片手でもいいので、ここのピクニックテーブルでランチを楽しんでみて!
はたご池公園 の 魅力


はたご池公園 周辺の 温泉地‼





はたご池公園 の 見頃・おすすめ時期
1月 | 2月 | 3月桜 | 4月桜 | 5月 | 6月ササユリ | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
はたご池公園 の 基本情報
名称 | はたご池公園 |
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読み方 | はたごいけこうえん |
英訳 | Hatago-Ike Park / Hatago Pond Park |
郵便番号 | 〒421-3301 |
所在地 | 富士市富士市北松野2701-1 |
駐車場 | あり |
お問合せ | 0545-81-5556(富士市観光案内所) |
するナビ | 富士川の観光スポット |
アクセス | 現在地 からの ルート と 所要時間‼ |
登録・指定 | ※旧富士川町指定 名勝 |
選定・表彰 | ※東海自然歩道(連絡路) など |