岩淵の一里塚とは?
静岡県富士市の間の宿が置かれた旧富士川町岩淵の、旧東海道 となる県道188号の両脇に残されているもので、塚の上には エノキ が植えられ 道標 や 説明板 が設置されている。
道路の拡幅工事等で多くの一里塚が取り壊されたり片側しか残されていない中、江戸時代の1604年に築かれた往時の姿をよく留めていることから、1986年12月5日に 静岡県指定史跡 となっている。

岩淵の一里塚 の 広告

岩淵の一里塚 の 見どころ
往時の姿を留めている岩淵の一里塚!
一里塚とは、江戸時代に五街道や脇街道などに道のりや距離を知らせるために、1里ごとに土を盛り塚を築きエノキやマツなどの木を植え目印とした一方で、その存在により江戸幕府の権威を示してきたものだ。江戸時代の日本では尺貫法が基本で、60間を1町、36町を1里と定め、1里は3.927km≒約4kmとしている。
60間の"間"は、今でもこの窓は一間幅で…などと日本建築では馴染みのある言い方で、1間=6尺≒1.82mというのはご存知の方も多いのではないだろうか。
この 岩淵の一里塚 は、江戸日本橋を起点とする旧東海道の37里目にあたり、慶長9年(1604年)2月に家康の命を受けた大久保長安により築かれ、旧富士川町の間宿が置かれた岩淵の旧東海道となる県道188号の両脇に残されている。
小休本陣常盤家住宅より旧東海道を南下して行くと、富士川民俗資料館へと続く道の手前で右に直角に大きく折れるのだが、その角にあるのがこの岩淵の一里塚だ。塚面積は、西側が45.55㎡ 東側が67.73㎡となる。
時代とともに幹線道路や生活道路としてのインフラ整備で道の拡幅工事が行われる際に、多くの一里塚が削られ取り壊され姿を消し、運よく残されているものも片方だけの所が多い中、こうして道の両側に塚が残され往時の姿を留めている所は、全国的にも珍しい。
そうしたこともあり、昭和時代の1971年1月28日に 史跡『一里塚』として旧富士川町の文化財に指定されると、1986年12月5日には静岡県指定文化財となっている。
今はこの一里塚しかないが、往時は岩淵名産の「栗ノ粉餅」を売る茶店が並んでいたという。ここまでの大樹ではなかっただろうが、餅を片手に木を見上げたり、木陰で一服した旅人もいたことだろう。
東海道の生き証人!
この岩淵の一里塚には落葉広葉樹のエノキ(榎)が植えられており、現在では通りの両側に家が建ち並び住宅街に埋もれているので、なかなか近づくまでその存在に気付きにくいが、車で走っていても近づけば必ず一度は視線が行く存在だ。
お気づきの方も多いと思うが、左右のエノキでは大きさが異なりその風格も異なる。一里塚の道標や説明板があるのは東側だが、角の内側となる西側の塚に植わるエノキの存在感はハンパなく、近隣住宅や電線への影響も加味して度々枝下ろしが行われてきたが、それでも盤根が現れた幹の太さは隠しきれないわけで、すぐ横を通る際には思わず注視してしまう。
それもそのはずで、この西側のエノキは岩淵の一里塚が築かれた当初の木で、単純計算でも樹齢420年超の古木となる。それから現在まで道行く人や車を見守ってきたわけで、まさに "東海道の生き証人" だ。
現在の大きさはわからないが、旧富士川町の文化財に指定された時の大きさは、根回り5.6m 目通り3.2mだった。
エノキとお別れする式!?
では東側のエノキはというと、実は初代のエノキは昭和時代の1967年に虫害により枯死しており、驚くことに1968年2月23日には『枯死したえのきとお別れする式』が町を挙げて執り行われている。目と鼻の先の現在 富士川まちづくりセンターが建つ場所に、旧富士川町役場があったことで身近な存在だったこともあるが、どれだけ地元の人々にこのエノキが愛され慕われてきたのかが伺い知れる。
ちなみに1971年の庁舎建替の際には、一里塚の向かいの月極駐車場の所(写真2枚目の右手の緑のフェンスの所、3枚目の通りの正面)にプレハブの仮庁舎が建てられていた。今では考えられないが、この岩淵の一里塚は町の中心にあったわけだ。
話を戻すが、町では枯死してから2年に渡り初代に代わるべくエノキを物色するもなかなか良い木が見つからない中、当時の町議会の鈴木富治副議長が一肌脱いで自宅の庭のエノキを寄贈し、1970年3月17日に移植したのが、この東側に植わる2代目のエノキだ。
樹齢420年超の西側のエノキに比べれば、まだまだ赤子のような存在だが、それでも半世紀以上この地で道行く人々を見守ってきたわけで、町は無くなり役場も無くなり取り巻く環境も大きく変化したが、いつまでも岩淵の一里塚の両脇のエノキが長生きしてくれることを願う。
…と、ここでまったくの余談ながら、後ろに写る白い壁の住宅は、総二階建で越屋根とオーバーハングが特徴的なミサワホームのO型で、1976年の東京晴海の『国際グッドリビングショー』で発表され、その後爆発的なセールスを記録した昭和の住宅史にその名を刻む大ヒット商品だ。岩淵の一里塚とは関係ないが、建築好きの方のために参考までに!私はそちらにも目が行くもので…
旧東海道を歩いてみよう!
岩淵の一里塚について長々話をしてきたが、車で訪れる際にはこの岩淵の一里塚付近に路駐したり、一時停止でもブラインドコーナーとなり非常に危険なので、近くにある富士川民俗資料館の無料駐車場を利用してほしい。富士市でも富士川民俗資料館の駐車場の利用を勧めている。
土・日・祝日なら富士川民俗資料館の見学も出来るし、小休本陣常盤家住宅にも駐車場が無いので、この岩淵の一里塚を抜けて小休本陣常盤家住宅やその先の清源院辺りまで800mほど旧東海道を散策していただければ、途中に新豊院や常夜燈が3つは見られるので是非お勧めしたい。

往時の姿がよく分かる一里塚だよ!
江戸時代の1604年に築かれた当初の姿を今に伝える貴重な一里塚で、静岡県指定史跡だよ!

左右のエノキの違いに注目!
西側は樹齢420年超の立派なエノキで、東側は1970年に移植された2代目となるよ!

旧東海道の散策を楽しもう!
富士川民俗資料館に車を停めて、小休本陣常盤家住宅方面へ旧東海道を歩いてみよう!
岩淵の一里塚 の 魅力


岩淵の一里塚 周辺の 温泉地‼





岩淵の一里塚 の おすすめ時期
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
岩淵の一里塚 の 基本情報
名称 | 岩淵の一里塚 |
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読み方 | いわぶちのいちりづか |
英訳 | Iwabuchi Ichirizuka |
郵便番号 | 〒421-3305 |
所在地 | 富士市岩淵181-2 / 182-11 |
駐車場 | なし ※富士川民俗資料館を利用 |
お問合せ | 0545-81-5556(富士市観光案内所) |
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アクセス | 現在地 からの ルート と 所要時間‼ |
登録・指定 | 静岡県指定 史跡 |
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